NIKKEI

PR

日経アニュアルリポートアウォード2017

アニュアルリポートアウォード 2次審査講評

審査委員長

北川 哲雄氏

青山学院大学大学院

国際マネジメント
研究科教授
北川 哲雄氏

エンゲージメントのためのARを期待

ARのレベルは着実に上がってきている。歯ごたえのあるものが増えてしまい21冊の読了後にはどっと疲れが出てしまった。これはうれしい悲鳴である。企業価値創造のためのロードマップも的確に示され、ESG(環境、社会、ガバナンス)情報も充実してきた。次のステップは、手を携えて行くことが望ましい長期投資家からのgood questionを引き出すための味わい深いARが欲しいところである。すなわち投資家に対するエンゲージメントのためのARである。

審査委員

岸上 恵子氏

日本公認会計士協会

経営担当常務理事
岸上 恵子氏

広範で良質な企業報告多い

企業の持続可能な成長と成功のためには、ESGにも配慮しつつ、投資家の期待である中長期の価値創造を目指していくことが期待されている。初めて審査に加わったが、統合報告を意識した報告書が多く進展に驚いた。メガトレンドを中長期の価値創造にどう関連させているか、過去財務数値との整合性に納得感があるか、簡潔であるかといった視点で見させていただいた。

審査委員

井口 譲二氏

ニッセイ
アセットマネジメント

チーフ・コーポレート・
ガバナンス・オフィサー
井口 譲二氏

今後は簡潔さが求められる

スチュワードシップコードの時代、統合報告書は企業との建設的な対話において、その重要度を高めよう。報告書では定量的な「戦略」の説明だけではなく、ステークホルダーへの対応や実効的なコーポレートガバナンス体制構築をも含めた包括的な企業価値創造プロセスの描写が求められる。グローバルの企業報告の世界で話題になっているのは”コンサイズ(簡潔)”だ。今後、日本の企業報告においても重要な課題となろう。

審査委員

大崎 貞和氏

野村総合研究所

未来創発センター
主席研究員
大崎 貞和氏

ESGに対する認識に課題

2次審査に残ったリポートはいずれも甲乙つけがたく、受賞しなかった会社も「あと一歩」と思ってほしい。気になったのは、ESG投資が注目され、ガバナンス改革が叫ばれる中で、独立社外者による経営監督が重要という建前とは乖離した本音が垣間見えたり、不都合な情報も率直に説明するという姿勢に欠けるように思われる例があったこと。企業価値向上のためのESGという認識が定着したとは言えない。

審査委員

梶谷 英輝氏

JPモルガン・
アセット・マネジメント

株式運用部 副部長
エグゼクティブ・ディレクター
梶谷 英輝氏

高まったコミュニケーション能力

統合報告書は更なる進化を遂げ、2次審査に残ったのは、財務・非財務情報を十分に吟味し、重要事項を漏れなく、バランス良く、分かりやすく自らの言葉で語っている洗練された報告書ばかりとなった。優劣はつけ難く、審査会では僅かな視点の差で分かれる意見の集約が必要だった。報告書自体の「コミュニケーション能力」が高まった分、報告書を通じて浮かび上がる会社実態そのものへの評価の重要性も高まった。

審査委員

三瓶 裕喜氏

フィデリティ投信

ヘッド オブ
エンゲージメント
三瓶 裕喜氏

環境と社会に関する情報量が充実

事業活動と非財務情報を関連付けた統合的思考のリポートが増え、質が一層高まっている。IIRC(国際統合報告評議会)、GRI(Global Reporting Initiative)、SDGs(持続可能な開発目標)などに準拠した開示も多く見られ、ESGのEとSに関する情報量が充実してきた。一方、社会課題解決への取組みや価値創造プロセスを語る頁は、一般論的な説明にとどまっているリポートが多い。企業固有のビジネスモデル、競争戦略、経営課題と、取締役会の実効性評価、役員報酬制度設計を絡めた開示を期待したい。

審査委員

徳田 展子氏

東京海上アセット
マネジメント

株式運用部
投資調査グループ
兼 責任投資グループ
ESGスペシャリスト
徳田 展子氏

取り組みの実効性がわかる工夫も必要

今回は重要なESG課題を自社の事業活動や戦略に組み込むだけでなく、読み手にもその実効性がわかるよう工夫されたリポートが見受けられた。投資家にとってアニュアルリポートは、不確実な資本市場において、企業のビジネスモデルや経営戦略が将来の価値創造にどう関わるかを企業と共有するための重要なツールの1つである。今後も、企業の透明性を一層高めるようなアニュアルリポートが増えることを期待したい。

● アニュアルリポートアウォード 1次審査講評

(社名五十音順、株式会社は省略)

宮本 太郎氏

アセット
マネジメントOne

運用本部
株式運用グループ
アナリスト
宮本 太郎氏

アニュアルリポートの重要性実感

トップマネジメントによる積極的なアピールを強く感じるリポートが年々増加している点を評価する。また全体的に、ESGファクターなどの非財務情報の充実や、コンテンツの充実による他社との内容差別化も進んでいる傾向が見て取れた。投資家と企業の間の「建設的な対話」がますます重要となる中、そのコミュニケーションツールであるアニュアルリポートの重要性は今後さらに高まってゆくこととなると改めて実感している。

石塚 愛氏

いちごアセット
マネジメント

執行役員
パートナー
石塚 愛氏

長期投資家の共感呼ぶリポート多数

アニュアルリポートは投資家にとって企業理解を深めるための重要なツールであるため、各企業が対話の一環として独自の創意工夫と熱意をもって対応されていることに深く感謝している。特に長期の在りたい姿とその目標への通過点としての中期経営計画における道筋の明示、ESGへの取り組みを持続的な企業価値向上にうまく融合させた例など、長期投資家としてその将来を共有・応援させていただきたいと思うリポートが多かった。

秋野 充成氏

いちよしアセット
マネジメント

執行役員
秋野 充成氏

ESG情報が年々充実

投資家目線の洗練されたアニュアルリポートが増えている。非財務情報、特にESG情報が年々充実して、ファイナンシャルサステイナビリティー(持続可能性)を強調している企業が目立つようになった。長期投資家の関心は、当然ながら、長期的な企業価値増大にあるが、ESGへの対応を長期的な企業価値向上と結びつけて考えている企業が増えていることは大変、喜ばしい。

古布 薫氏

インベスコ・
アセット・マネジメント

日本株式運用部
リサーチ・アナリスト
古布 薫氏

全般的な水準が向上

各社の熱心な取り組みの結果、全般的な水準の向上が認められる。ビジネスモデルと持続的成長の可能性、環境・社会との親和性についての説明が充実している。一方、分かりやすいキーワードの羅列や商品紹介にとどまるアニュアルリポート、統合報告書の本質から遠い例や、体裁を追求するあまり独自戦略の記載が少ない例も見受けられる。投資家と企業の建設的な対話を促進するツールとしてのさらなる充実を期待する。

井川 智洋氏

エイピーエス・
アセット・マネジメント

シニアアナリスト
井川 智洋氏

より積極的な情報開示を期待

近年、コーポレートガバナンス・コードなどの概念の浸透により、長期的な企業価値向上に対する取り組みの説明に重点を置くアニュアルリポートが目立つようになり、投資家にとって必須の分析ツールの1つであることを改めて認識した。一方、自社の抱える課題について説明している企業は少数派であったように思うが、冷静に自社の現在位置を共有することが長期戦略の説明力にもつながることから、今後もより積極的な情報開示を期待する。

柳葉 徹氏

エンジェルジャパン・
アセットマネジメント

インベストメント・
マネジャー
柳葉 徹氏

昨年よりも格段進化したリポート増加

今回はコーポレートガバナンス・コード制定後2回目のアニュアルリポートアウォードとなる。拝読すると、実際の取り組みも含めて読者の理解を促進しようとする各社の工夫が随所に見られ、昨年よりも格段進化したリポートが数多く見られた。また、今年はこれまでの中で応募件数が非常に多いと聞いており、IR資料としてもCSR資料としてもその存在価値がこれまで以上に高まっていることを実感した。これからのさらなる進化が楽しみである。

伊井 哲朗氏

コモンズ投信

代表取締役社長
兼CIO
伊井 哲朗氏

CEOのパッションを伝えてほしい

アニュアルリポートにおいても対話の姿勢が大切になってきている。単なる情報発信やディスクロージャーに留まることなく、CEOから感じられるパッションや社外取締役の外部からの鋭い視点を伝えて欲しい。また、財務情報に関しても、長期のデータの中で今をハイライトして欲しいと考えている。ESGに関しても、事業活動への落とし込みを知りたい。今年もそれぞれの企業での取り組みに進化が感じられた。

柳葉 徹氏

JPモルガン・
アセット・マネジメント

株式運用本部
投資調査部
小南 翔太郎氏

必要な情報は質・量とも年々改善

アニュアルリポートは企業理念やトップマネジメントのメッセージを確認する上で欠かせないツールになっており、必要な情報は質・量とも年々改善している印象だ。また形式的な記述に捕らわれず、直近のトピックスを長期的な視点でわかりやすく位置づけ、読み応えのある特集記事が見られた点は評価したい。個々のイベントで一喜一憂するマーケットの中で、今後とも長期的な企業価値を考える視点で明確なメッセージを期待したい。

角田 成宏氏

損保ジャパン日本興亜
アセットマネジメント

シニアインベストメント
マネージャー
角田 成宏氏

ESG情報については意識に差あり

中期的なファンダメンタルズに則って投資価値を算出している投資家にとって、経営理念や財務戦略を語ってくれるアニュアルリポートに各社の独自性・工夫が増えていると感じる。社外取締役のコメント・活動にも各社ごとの切り口が見られるし、ESGに関する取り組みについても同様である。ただし、ESG情報については、HPで紹介できているものですら盛り込めていない企業もあれば、事業戦略への紐付けができている企業もあり、意識の差を感じた。

山崎 徳司氏

大和証券

企業調査部
山崎 徳司氏

ネガティブファクターへの対応に課題視

昨年指摘したメインテーマ「サステイナビリティーへのアピール度」について、今年もレベルが高い企業とそうでない企業との格差は大きかった。一方で、レベル向上への進化を実現させている企業も増え、経営陣を含めた企業意識は前向きとの印象を持った。課題は、リスクの顕在化(あるいはネガティブなファクター)への対応も含めた具体的な記述が少ないことであろう。今後も、さらなる進化を期待したい。

山中 清氏

T&Dアセット
マネジメント

運用部門担当執行役員
山中 清氏

持続可能性と成長性の伝え方を重視

本審査にあたっては、長期視点に立った企業の方針が明瞭に示され、事業の持続可能性と成長性がわかりやすく伝わる内容であるかを重視した。情報量の充実が進んでいると同時にオリジナリティーのある構成になり始めていると感じた。非財務情報を含めストーリー性や統一感のあるリポートは説得力が高く評価できると判断した。今後、財務情報と非財務情報の関連性を深め、中長期的な企業価値向上への取り組みを読み手が実感できるような統合報告書を期待したい。

栗原 英明氏

東海東京調査センター

企業調査部
企業調査部長
シニアアナリスト
栗原 英明氏

ARは最重要な情報伝達手段

ホームページなどが充実し、各種の企業情報にアクセスしやすい状況にあるが、アニュアルリポートが最重要な情報伝達手段であるとの認識に変わりはない。今後も読みたくなるリポートを期待している。作成サイドは一定のページ数の範囲内で、ESGを含めた幅広い情報をいかに有効に伝えるかに尽力されている印象を受ける。企業の根幹となる創業の精神、事業戦略で熱意を感じることができるリポートや、構成・デザインに優れたものは、読んでよかったと感じる。

大谷 章夫氏

東京海上アセット
マネジメント

株式運用部
投資調査グループ
シニアアナリスト
大谷 章夫氏

強みに比べ課題や弱みへの言及少ない

まず、「読みやすさ」は格段に向上している。各社工夫を凝らしてビジュアル、デザインの充実を図っている。雑誌を読むような感覚で企業の概要が理解でき大変効果的だと思う。また、今年はガバナンス強化の流れを受けて、社外取締役のメッセージを掲載する企業が増えた。なお、全体的に自社の特徴や強みに比べて、課題や弱みへの言及は少ないと感じる。企業の「等身大」の姿を知りたい投資家としては必要な情報であり、リポートを通して発信をお願いしたい。

中野 次朗氏

日興アセット
マネジメント

株式運用部長
中野 次朗氏

企業と投資家の距離は縮まっている

アニュアルリポート新時代――長期投資家にとって良いアニュアルリポートとは、一般的な広報ツールではなく、差別化された将来価値や無形価値を分析・評価できる材料を提供し、それが投資のアルファにつながっていく株主価値創造ツールであるが、当年度のリポートにはそうした変化を感じさせるものが増えている。2つのコードが導入され、企業と投資家の距離はより縮まっているが、その対話の中心的なツールとなる日も近いと思う。

笹本 和彦氏

ニッセイアセット
マネジメント

株式運用部
投資調査室長 兼
運用企画部
ESG推進室調査役
笹本 和彦氏

ESG情報の重要性は高まっている

今回は投資家の注目の高まりに対応し、自社のESGアピールに紙面を割く動きが特徴的であった。しかしクオリティー面では企業価値との関連度を示す「マテリアリティ」を明確にした上で説得力のある議論を展開している企業から、単なるCSRリポートの抜粋にとどまっている企業まで様々であり、その部分での評価が全体評価を分けるケースも多数見られた。投資家が企業評価を行う上でのESG情報の重要性は高まっており、企業価値との関連を意識した開示の進展を期待する。

小山 健一氏

富国生命投資顧問

株式運用部
チーフ
ファンドマネジャー
小山 健一氏

経済価値と社会的価値の融合に好印象

今回の審査を終えて感じたことは、アニュアルリポートの多くに、従来の経済価値とESGの観点からの社会的価値を融合した企業価値の説明の試みがなされていることであった。それは、章立てや構成、図表の工夫であったりと、必ずしもその試みが成功しているわけではないが、企業の継続性のイメージを高める上で、非常に好ましい傾向であると思えた。

小山 洋美氏

三菱UFJ国際投信
(MUKAM)

株式運用部
国内株式第1グループ
グループリーダー
小山 洋美氏

活動報告にPDCAサイクル視点を

リポートの質・量ともに改善している。そうした中で、強いて今後も強化して欲しい項目は、経営目標を含めた投資家への具体的なメッセージだ。特に、経営課題の明確化、およびそれに対する取り組み状況の報告をPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの視点で動態的に展開して欲しい。そうすることによって、各ステークホルダーとの距離がより接近するはずであり、またそれが当リポートに求められている本質であると思う。

佐々木 靖人氏

レオス・
キャピタルワークス

シニアアナリスト
佐々木 靖人氏

独自性のある開示姿勢に差

スチュワードシップ・コードが意識され始めて2年目、全体的に内容が投資家や利害関係者の求める情報に近づいているように感じた。ただ、相対的に見た時、その中身の濃さに差が現れている。独自性のある開示姿勢の有無と第三者による作成協力の有無に原因があるのではと推察した。特に現在抱えている課題を明確にすること、ESGと企業価値向上の関係を明確にすることなどの点において顕著である。今後、さらなる改善を期待したい。

アニュアルリポートアウォード 1次審査員一覧

(社名五十音順、株式会社・敬称は省略)

■アセットマネジメントOne

  • 山口 寛悟、城戸 謙治、宮本 太郎、櫻本 惠

■いちごアセットマネジメント

  • 石塚 愛

■いちよしアセットマネジメント

  • 戸田 さつき、三上 健平、大川 恒、秋野 充成、金 智行

■インベスコ・アセット・マネジメント

  • 古布 薫、原田 秀樹、笠井 拓、種元 文周

■エイピーエス・アセット・マネジメント

  • 井川 智洋

■エンジェルジャパン・アセットマネジメント

  • 坂東 良太

■コモンズ投信

  • 伊井 哲朗

■JPモルガン・アセット・マネジメント

  • 小南 翔太郎

■損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント

  • 田中 英太郎、板倉 充知、藤原 重良、角田 成宏、花井 美穂、
    神谷 悠介

■大和証券

  • 山崎 徳司

■T&Dアセットマネジメント

  • (非公表)

■東海東京調査センター

  • 栗原 英明、金井 健司、荒木 健次、萩原 幸一朗、中原 周一

■東京海上アセットマネジメント

  • 光田 寛和、五十崎 義将、浅野 建、秋澤 宏典、夏目 宏之、
    平井 克典、岡田 将行、大谷 章夫、森山 茂、柳澤 祐介、水野 要

■日興アセットマネジメント

  • 中野 次朗

■ニッセイアセットマネジメント

  • 坪井 暁、佐藤 啓吾、岩尾 光恭、小林 守伸、醒井 周太、八並 純子、
    堀井 章、加藤 真二、八木場 真二、泉 聡基、吉沢 泰、黒木 文明、
    峯嶋 利隆、笹本 和彦

■富国生命投資顧問

  • 小山 健一、森 智勝

■三菱UFJ国際投信

  • 中川 雅嗣、白須賀 啓介、太田 智也、上辻 敦生、小山 洋美

■レオス・キャピタルワークス

  • 八尾 尚志、渡邉 庄太、栗岡 大介、佐々木 靖人

■他2社