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日経経営人材活性化フォーラム ~“経営人材”として、外部企業に転進してキャリアを拓く~ 変革する企業で求められる“経営人材”の条件とは?

登壇者

<基調講演>
菅野 寛氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授)
<セッション>
西谷 浩司氏(アント・キャピタル・パートナーズ エグゼクティブ・パートナー)
古市 知元氏(ギルト・グループ カントリーマネージャー、代表取締役社長)
波戸内 啓介氏(リクルートエグゼクティブエージェント 代表取締役社長)
<ファシリテイター>
横田 浩一氏(横田アソシエイツ代表取締役、慶應義塾大学特任教授)

“経営人材”に不可欠な能力と経営センス

 開催にあたり、ファシリテイターの横田浩一氏(横田アソシエイツ代表取締役、慶應義塾大学特任教授)は「金融庁のガイドラインで、サクセッションプランの開示が義務化された。こうした背景から、近年、経営人材の需要が急速に高まっている。日本企業は、経営人材の外部登用を本格的に考え始めている」と述べた。

早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授 菅野 寛氏

菅野 寛氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授)は経営人材が身につけるべき能力について言及した。

 基調講演では、「戦略的に経営者を目指す」と題し、菅野寛氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授)が自身のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)におけるコンサルタント経験を踏まえながら、経営人材に求められる条件や経営センスの磨き方などについて述べた。

 菅野氏は、日本企業が半導体事業で負けた理由は「経営人材の質だ」と断じ、「今最も日本企業に欠けているのは経営人材だ」と持論を展開。
 デジタル革命が急速に進展する昨今、大企業が生き残るとは限らない時代だ。オープンなコラボレーションが起きることで、競争の前提条件さえひっくり返ることもある。そんな時代だからこそ「変化を先読みして、非連続な改革をリードできる経営人材が求められている」と言う。
 菅野氏が提唱する、経営人材が身につけるべき能力は下記の4つだ。

1.ハード面
経営戦略やマーケティング、ファイナンスなどの基礎知識
2.ソフト面
決断力や勇気、リーダーシップ、視座の高さなど、いわゆる“人間力”
3.コミュニケーション能力
社内外の関係者と折衝する能力や英語力
4.実務経験
実践に裏打ちされた経験がなくては、企業を成功に導くことはできない

 一般的に日本企業は、一度昇進すると、降格することはない。こうした硬直的な人事制度も経営人材育成の足かせになっている。菅野氏は「経営ポジションを経験させ、ダメだったら降格させればいい。ただし、いつでも再チャレンジが可能であることが必須条件だ」と、経営人材を育成する組織づくりについても言及した。
 最後に、経営センスの磨き方について、こう語った。
 「意思決定する勇気やモビライズする力は、実践で養うことができる。失敗を徹底的に分析して学ぶことだ。そして、決して落ち込まずにしつこく実行すること。そうすれば必ず道は開ける」

経営は「人間と人間のぶつかり合い」

セッションパネラー 岡慎一郎氏、和田千弘氏、波戸内啓介氏の三者が登壇

登壇者の個性あふれる語り口に多くの受講者が引き込まれていた。

アント・キャピタル・パートナーズ エグゼクティブ・パートナー 西谷 浩司氏

西谷 浩司氏(アント・キャピタル・パートナーズ エグゼクティブ・パートナー)は、「人の縁やチームメンバーとの関係性が重要」と力説した。

 続くセッションでは、西谷浩司氏(アント・キャピタル・パートナーズ エグゼクティブ・パートナー)、古市知元氏(ギルト・グループ カントリーマネージャー、代表取締役社長)、波戸内啓介氏(リクルートエグゼクティブエージェント 代表取締役社長)が登壇し、経営人材の条件について議論した。
 エグゼクティブ人材の転職支援を手がける波戸内氏は、経営人材を語る際、「海外展開を踏まえた成長戦略の立案、人材ポートフォリオの再構築、事業継承がキーワード」と説明。
 「経営人材の市場規模は年々増加・拡大している。今後、経営人材の流動化は一般的なものになるだろう」と経営人材の需要見通しについて語った。
 マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、GEやミスミ、本間ゴルフなどで経営支援を手がけた西谷氏は「経営人材のあり方」についてこう語った。
 「本間ゴルフでは、マーケティングコンセプトやビジョンを策定し、経営改革を実行した。従業員はその必要性について頭では理解しているものの、外部から来た人間を容易に受け入れてはくれない。時には、ひざを突き合わせながら酒を酌み交わすことも必要だ。人間と人間のぶつかり合いをすることで、等身大の自分を受け入れてくれる。とにかく誠意を尽くすことだ」

ギルト・グループ カントリーマネージャー、代表取締役社長 古市 知元氏

古市 知元氏(ギルト・グループ カントリーマネージャー、代表取締役社長)は、「リストラなどの厳しい条件も経験したが、決して諦めることはなかった」と自身の体験を語った。

 古市氏も西谷氏と同様、マッキンゼーからキャリアをスタートさせた。コンサルタントとして活躍するなかで、「事業会社に行きたい」と切望していた古市氏は、インテリジェンスやサマンサタバサジャパンリミテッドなどで全社変革などに携わる。
 「当時のサマンサタバサは、規模が拡大するなか、組織変革に課題を抱えていた。社長と従業員の考え方をすり合わせ、求心力を維持しながら、自由闊達にモノが言えるよう改革する必要に迫られた」
 相当タフな状況だが、突破口は意外にも社員旅行だった。
 「従業員は、会社が何を考えているのか分からない、という不安を抱えていた。社員旅行で会社の考えを説明することで、その不安を取り除こうとした。アパレルの場合、どのくらいブランドが好きか、その気持ちが業績に直結する。やる気を伸ばすことが大切だ。旅行の企画は人任せにせず、桜吹雪を自作し、“休ませない”をコンセプトにさまざまな仕掛けも用意した」
 このような従業員の気持ちに寄り添う行動も経営人材に不可欠なようだ。

仕事のやり方を見直し、キャリアを棚卸しする

リクルートエグゼクティブエージェント 代表取締役社長 波戸内 啓介氏

波戸内 啓介氏(リクルートエグゼクティブエージェント 代表取締役社長)は、「修羅場を自ら取りに行ってほしい。当事者意識が人を成長させる」と未来の経営人材にエールを送った。

 最後に、各氏から経営人材として外部企業に転身を希望するビジネスパーソンへエールを送った。
 「キャリアを振り返ると、多くの人々に出会っていることに改めて気づかされた。こういう仕事があるからやってみないか、と誘われて転身している。人の縁を大切にすることだ。そして、決してチャレンジ精神を失わないこと。チームメンバーをリスペクトすることも重要だ」(西谷氏)
 「誰よりも一生懸命働くことだ。つらい仕事もあるだろうが、自分なりに楽しみを見つけ、周りを巻き込んでいけば、きっと会社は変わる。優れたリーダーは、厳しい決断をしても、みんな受け入れてくれるものだ。このとき問われるのは、どれだけ周りの人と正直にやってきたかどうか。正直に言う、きっちりと仕事をする。普段の仕事のやり方を見つめ直してほしい」(古市氏)
 「転職するかどうかは別として、キャリアの棚卸しを習慣化してほしい。そうすれば、何をしているときが一番楽しいのか、どんなスキルが生かせるのか確認できるはずだ。どんなに優れた能力があっても、経営人材として企業とマッチングしなければ転身はかなわない。自分を見つめる機会を確保してほしい」(波戸内氏)
 ファシリテイターの横田氏は「経営人材のニーズは確実に高まっている。今回のフォーラムで学んだことをぜひ役立ててほしい」と締めくくった。