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LECTURE193  2018 September

【インタビュー】
ECCジュニア・ホームティーチャー 久保香奈さん・澤田会美さん

思いをかなえ、育児と両立 自宅で自在に英会話教室を

久保さん・澤田さん
<br>  女性活躍の場が広がり、ライフスタイルに合わせた自在な働き方を望む女性が増える一方、家庭と仕事の両立への壁はいまだに高い。子どもの英会話教室ECCジュニアで、ホームティーチャーとして自宅を拠点に英会話教室の運営と育児を両立している久保香奈さんと澤田会美さんに、実際の働き方や魅力を聞いた。

在宅で自分らしく 経験生かせる仕事を


 ――教室を始めた2016年当時は人手不足が話題になり、職の選択肢は多かったのでは。
 久保 大学を卒業してから営業、事務職に、ショップの店長なども経験していたので、できる仕事の幅は広いと思っていましたが、思い描く働き方に合う仕事はそう多くはありません。ECCジュニアのホームティーチャー(HT)という仕事に出合えたのは幸運な偶然でした。
 澤田 私は米国の大学を卒業してからスポーツメーカーの海外営業部で3年間勤め、結婚を機に退職しました。長女も生まれて1年半のブランクの後、別の会社で事務職や英語の翻訳の仕事などをしていましたが、デスクワークだけでなく、もっと人と関われる仕事がしたいと思っていました。
 ――HTを知った経緯は。
 久保 15年9月、2度目の育児休暇の間に、元の職場に戻れないことを告げられ、地元で開催された転職フェアに足を運んだのです。フルタイムで、長時間通勤をする前提なら働き口はいくつもありましたが、当時4歳と1歳の子どもを育てながらとなると、しかも今後小学生になって学童保育の時間や病気などの際の対応を考えるとなかなか難しい。自分が採用担当者をしていたこともあって40歳からの再就職の厳しさを肌で感じていましたので、在宅でできる仕事を漠然と探していました。そんな時にECCのブースを見た夫が「いいんじゃない?」と。私は学生時代にミュージカルをやっていたので「ダンスや歌を取り入れた英語塾の先生って向いていそう」と言われ、この仕事はレッスン内容に自分の工夫を足すことができて楽しそうだと気付いたのです。そこからはトントン拍子で話を進め、11月には契約を交わして16年4月の教室開講まで、育児以外の時間を全力で開講準備に費やしました。
 澤田 子どもに接するのがもともと好きで、英語の経験も生かせるので、選択肢の一つとしてECCジュニアのHTは魅力的でした。「いつかは」やってみたい仕事だと。ただ、情報を集めたり採用窓口の担当者に相談したりはしていたものの、育児のひと区切りがつくまではなかなか踏み出せなかったのです。

家族のサポートで一体感 人が自然に集まる場所に


 ――HTを始めた決め手を教えてください。
 久保 夫も子どもが好きで、今の家を建てた時に「人が集まる家にしたい」と言っていたことと、私のやりたいことが見事に合致しました。知った時には思いも寄らない職種でしたが、地域の子どもたちの成長にも直接関われるし、とてもやりがいのある仕事だと直感しました。
 澤田 準備期間中に、やはり自分にはHTが合っていると再認識していたので、後は時期だけでした。思いが具体的になったのは16年7月。長女が2歳半になって余裕ができ、今がタイミングだと、行動を起こしました。両親や夫が「やるならなるべく早い方がいい」「協力するから大丈夫」と、迷っていた私の背中を押してくれたのも大きかった。ところが契約した直後に妊娠していることが分かり、先送りにするべきか悩みましたが、妊娠初期の8月から研修をこなして10月には開講。保護者の皆さんにはあらかじめ説明して出産後の2カ月は休みをいただきました。復帰してからも両親や夫の両親を含めた家族のサポートで育児と教室運営を両立。再開してすぐは奥の部屋で赤ちゃんが泣く中でレッスンをすることもありましたが、むしろその声が良い教材になったくらいです。妊娠中から話題にしていたことで生徒たちの「見守っている感」がすごくて、その気持ちを声や身振りに乗せることで、生きた英会話の表現が自然にできていました。またレッスン時の体調さえ整えておけばいいのも自宅を仕事場にするメリット。周囲の理解のおかげですが、思い切って始めて良かったと、今では思っています。
 ――本人の強い思いがあるからこそ、周囲も応援したくなるのでしょうね。
 久保 それはありますね。うちでは夫がとても協力的です。玄関に掲げる教室の看板やポスター用の掲示板を作ってくれたり、近所の子どもが遊びに来やすい雰囲気を整えたり、毎年行うハロウィーンパーティーの日にはいつも仕事を休みにして、ワッフルを焼いてくれています。英語のレッスンを核にしながらも、それだけのつながりではなく、勉強も遊びも含めて自然と子どもたちの足が向く場所になってきたのがうれしいです。
 澤田 応援してくれるのは家族だけではありません。近隣のつながりにも大分助けられました。それに教室の運営面では、ECCの研修やサポートは大変充実しています。研修で知ったことは、そのままでも自分の教室や生徒たちに応用できますし、自分なりの工夫をしていく下地としても、そのアドバイスはとても心強いと思います。

子供と

ハプニングも利用して 自分で考える力を育む


 ――自宅が教室だと子どもが小さいうちは大変なのでは。
 久保 授業中に隣の部屋で兄弟げんかが始まったりはしますが、それもやり方次第でレッスンの題材にできます。生徒たちにとっても、自分の親がどうやって自分を育ててきたかを知る良い機会にもなります。ハプニングをプラスにするのもマイナスにするのも気の持ちよう一つだと思います。
 澤田 下の子はまだ授業中に泣いたりするので心苦しいのですが、レッスン前後の生徒たちとの交流や私の働く姿を見せる中で、少しずつ私の思いを感じていってもらえたらと思います。

 ――どんなときにやりがいを感じますか。
 久保 人間性やコミュニケーションの取り方を含め、それぞれの生徒が生きた英語力を身に付けるには、何を題材にどう興味を持たせるか、どうしたら自分で考える力を育めるのか。引き出しを多く持たなければいけないし、臨機応変な対応も必要で大変ではありますが、生徒たちの将来を見据えながらいろいろと考えていくのは、楽しい時間です。
 澤田 テストの点数が上がった、英語検定に合格したなどの具体的成果はもちろん、先週は言えなかったことが今週は言えたといった小さな成長を見て後押ししてあげられるのがうれしいですね。生徒たちが「先生の授業は楽しい」「暗い気分だったのに、来たら元気になっちゃった」といった言葉をくれることがあって、逆に元気をもらっています。初めは「英語が苦手だから」「やらなきゃいけないから」と言っていた保護者から「今は大好きで、教室に行くのを毎週楽しみにしている」と聞くのも励みになります。

 ――HTになろうと考えている人にメッセージを。
 久保 ライフスタイルやライフステージに合わせて長く続けられますし、何よりも、生徒とともに自分も成長していける、充実した仕事です。保護者の皆さんと一緒に悩んでどんなお手伝いができるか考えながら、日々生徒たちの成長を実感するという素晴らしい経験をしています。
 澤田 私のように始める前にためらっている人がいたら、今度は私が背中を押してあげたいですね。飛び込んでみると、意外とその先は広がっていくものですし、1人で悩んでいる時間はもったいない。やりたいことを言葉にして、いろいろな人に相談すれば、みんなで乗り越えていけるはずです。



ECCジュニアのホームティーチャーとは

ECCジュニアは39年の歴史を持つ全国展開の子ども英会話・学力養成教室。その顔であるホームティーチャーは、自宅や貸会場・テナントで、地域の子どもたちに英語や国語、算数などを教え、教室を運営しています。短大卒程度の基礎的な学力があれば、特別な資格は必要なく、指導・研修により、未経験でもスタートできます。働く曜日や時間、場所を選べるので、家庭との両立など自分らしい働き方も実現できます。