LECTURE194 2018 October
【第97回レギュラーセミナー】
「働く女性のためのメイクとヘアアレンジ」
ポイント絞る万能メイク職場で輝く「大人美人」に
働く女性が手に入れたい、好印象で美しさをキープするヘアメイク。 今回の丸の内キャリア塾では、そのテクニックをヘア&メイクアップアーティストの長井かおりさんと美容ライターの橋本日登美さんが実演を交えて紹介した。参加者へのワンポイントレッスンでは、ひと手間でつや肌になるメイクに会場からは歓声が上がった。
本来の美しさを引き出す肌づくりが何より大切
橋本 「毎日使える働く女性のためのヘアメイク」の極意とは何でしょうか。
長井 年齢やトレンドを問わずその人本来の美しさを引き出し、どんなビジネスシーンでも好印象の清潔感を保つことと考えています。
橋本 ポイントとなるパーツはありますか。
長井 重要なのは肌とアイゾーンです。シンプルかつ万能なメイクをお伝えします。これはポイントを絞り、化粧崩れしないメイクでもあります。
橋本 たっぷりの化粧水、美容液、UVケアが入った乳液でスキンケアをした後、下地から始めるのですね。
長井 下地は2種類を使います。まず、毛穴を隠すポアカバータイプの下地を鼻やその周りとTゾーンに指でクルクルと塗り込みます。その後、ピンク色の下地をくすみやクマが出やすい目の周りの「ゴーグルゾーン」に指で塗っていきます。
大切なのは必要なところにだけ効率よく塗ること。顔全体に塗る必要はありません。
橋本 ピンクの下地を塗ったところは明るい色になり、塗っていないところとのメリハリが出ました。
長井 ピンクの下地にはハイライト的な効果もあるのです。
橋本 時間をかけずに2種類の下地の使い分けができましたね。次はファンデーションでよいですか。
長井 はい。スキンケアの段階でUVカットの乳液できちんとUV対策を終えているので、下地にUV機能を求めなくてよいというのが私の考えです。
橋本 確かにさらにUVケアを重ねる必要はありませんね。
長井 伸びのよいリキッドファンデーションを目の下からこめかみまでのラインの「美肌ゾーン」にたっぷりと指で置いて、スポンジで軽くポンポンとたたきます。この美肌ゾーンがきれいだと、肌全体がきれいにみえるのでしっかり盛りましょう。ここ以外はササッとなでる程度で大丈夫。
その後クリームチークを顔の正面にふんわり丸く入れます。後につけるパウダーチークが時間とともに色落ちするのを防ぐことができるからです。色は、好感度が高く日本人の肌になじむアプリコットがおすすめです。
ベースメイクの最後のパウダーには化粧崩れを防ぐ役割があるので、まず粉をつけよくもんだパフでTゾーンにしっかり圧をかけていきます。Tゾーン以外にはブラシでパウダーをふんわりとつけていくことでつやがキープされるのです。
下まぶたのきわには小さめのブラシにつけたパウダーを軽くのせます。アイライナーやマスカラの色移りを防ぐためです。
大人メイクに欠かせないアイゾーンの陰影作り
橋本ここからアイメイクに入ります。
長井 まず、上まぶた全体にオフホワイトのアイシャドーを指の腹でワイパーのように動かして塗ります。下まぶたも同じ色をチップで置くようにのせ、明るさやハリ感を出しましょう。
橋本 この上にマットブラウンのアイシャドーですね。
長井 ブラウンはまぶたを深く見せるので、日本人に最適の色だと考えています。手の甲につけ色を調整してから指でまぶたに移していきます。
橋本 塗る位置の目安は。
長井 目が開いた時にグッと深くくぼむところまで入れていきます。アイメイクのポイントはブラウンのアイシャドーで影を作り、目の周りの骨格をくっきりさせることで目元に立体感を出すことです。「彫る」イメージですね。
橋本 かなり目力が出てきました。
長井 次はビューラーでまつ毛を根元からしっかり上げます。まつ毛にはカールキープ下地を塗ることを忘れないでください。その後、極細のジェルタイプアイライナーでまつ毛の下から点を打つようにラインを入れます。まつ毛の上にはみ出したラインは濃い茶系のアイシャドーでなぞってぼかします。
マスカラは黒い色をまつ毛の下側から、スッと簡単につければOKです。
橋本 なるほど。まつ毛がくりっときれいにキープされました。長井さんは下まつ毛をつける派なのですね。
長井 つける派です。印象がはっきりするので、大人の女性は下まつ毛にもマスカラをつけた方がよいと思います。
橋本 次は眉です。眉はアイメイクの最初だと思っていましたが……。
長井 眉を最後に描くことで全体のバランスが取りやすくなるのです。既にほとんど仕上がっているので、眉はあまり力を入れなくてよいです。スクリューブラシを取り入れてラフに描いてみましょう。
橋本 眉を描くのが苦手な方も、頑張りすぎなくてよいのですね。いよいよ仕上げです。
長井 大きめのチークブラシでコーラル系のパウダーチークを手の甲にのせてから頬に移します。チークを入れる位置はニコッと笑って高くなるところ、そこに小さな楕円を描くつもりでポンポンと色を置くようにのせていきます。
リップもコーラル系の色でリップクリームのようになめらかなものを選んでください。そうすればじか塗りで構いません。グリグリと全体にひろげてなじませます。唇のエッジを指先でぐるりと一周触って、フチならしすれば完成です。
簡単なゴム一本結びで上品なヘアアレンジに
橋本 つやのある幸せな印象の顔に仕上がりました。この機会に仕事でおしゃれに見えるヘアアレンジも聞きたいです。
長井 ゴム一本で簡単かつ美しくまとまる方法があります。まず少し硬めのヘアーワックスを手のひら全体、指の先、指の間にも伸ばします。その手で耳回りの髪の根元をかき上げるのです。きちんとつやとボリュームが出るので、手ぐしでふわっと後ろに集め、普通のゴムで一つに結ぶだけで上品な印象になります。
橋本 あっという間でした。
長井 プレゼンなどの少し堅い席ではこのままですが、普段のオフィスではややきっちりしすぎる感もあるので少し手を入れていきしょう。まず片手でゴムを持ち、もう一方の手の爪先でゴムの周りの毛束3、4カ所を細くつまみ出すのです。次にトップから生え際あたりをまた爪先を使って引き出します。これで抜け感のある美しさが保たれます。スプレーをかけてできあがりです。
橋本 ヘアもメイクもはつらつとした美しさがありますね。
長井 アプリコットカラーで肌に血色感を出していることも大人の美しさの秘訣です。ポイントを絞ったシンプルかつ一生使えるこのヘアメイクで、皆さんに輝き続けてほしいです。
長井 かおり(ながいかおり)さん
ヘア&メイクアップアーティスト
雑誌、広告、映像等幅広いジャンルで、モデルや女優のヘアメイクを手がける。わかりやすく、効果的なメソッドで女性ファッション雑誌、美容雑誌でのビューティー企画で人気を博し、著書のメイク本も累計20万部の大ヒットとなっている。
橋本日登美(はしもとひとみ)さん
美容ライター
メイクアップからボディー&スキンケア、美容医療まで幅広いジャンルの記事を担当。多くの女性誌で執筆活動をしているほか、美容書籍の編集業務や広告リーフレット・リリース製作なども手がけている。