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LECTURE195  2018 November

【インタビュー】
事務効率化コンサルタント オダギリ 展子さん

すぐに役立つ机の整理術 きれいが持続「小(こ)かたづけ」

オダギリ展子さん

一念発起して仕事机を片付けたのに、しばらくするとまたぐちゃぐちゃ――。そんな経験はないだろうか。事務効率化コンサルタントのオダギリ展子さんは、机の周りをきれいに保つコツは「小かたづけ」と語る。ひと仕事終えるごとに机周りをパッと整理するとよいという。ミスを防ぎ、仕事の効率が上がる整理整頓の具体的な方法を聞いた。

カテゴリーごとに分類する 使ったものは元の場所に


 ――整理整頓に着目したきっかけはどんなことですか。
 オダギリ 以前働いていた特許事務所での、ミスが許されない業務経験からです。独特のルールがあり、例えば封筒は3辺を切り開いて、中に残った書類がないかまでチェックします。そこまで?と感じるかもしれませんが、ルールを守って仕事をするとミスが減り、効率が上がりました。業務をしていくうちに、整理整頓は仕事で欠かせない重要なものだと分かったのです。
 元から整理整頓が得意だったわけではありません。仕事を続けていくなかで事務の達人の先輩からアイデアを教えてもらったり、必要に応じて自分でノウハウを考えたりしてきました。残業ゼロにするにはどうしたらよいのか。1時間かかっていたものを20分でできたらうれしい。工夫することが楽しくなる――。その繰り返しでもありました。
 ――机の上が散らかって、どこから手をつけてよいのか分からない場合の解決法はありますか。
 オダギリ 「整理整頓の3原則」を意識してください。第1に、不要なものを捨てることです。
第2に、カテゴリーごとの分類です。受け取った書類やメモなどを机の上に無造作に置いたままではいざというときに見つけられず、ミスの原因にもなります。案件ごとにトレーやファイルにこまめに分類しましょう。第3に、使ったら元の場所に戻すことです。ペンやハサミなどの文具も出しっぱなしにせず、その都度戻すクセをつけることが大切です。
 この3原則はごく当たり前のことで、決して難しいことではないと思います。

広げる書類は1案件のみ ミスを防ぎ効率アップ


 ――すっきりときれいな机を持続させる秘訣は何でしょう。
 オダギリ 「小かたづけ」をお勧めします。1件の仕事が終わったら今使用したものを全て元の位置に戻してから次の仕事にかかるという方法です。仕事の合間に片付けをはさむことで気持ちの切り替えにもなります。
 ――例えばAの資料を机に広げているとき、上司の指示でBの資料を広げる必要が出た場合も、Aを「小かたづけ」するのですか。
 オダギリ そうですね。Aをパタッと閉じます。机上に広げる案件書類は1件のみというのは、働いていた特許事務所で徹底されていて、私は今も続けています。いちいち面倒という人もいるかもしれませんが、「小かたづけ」のひと手間が仕事の効率をアップさせるのです。書類の混同や紛失の防止にもなるので、ミスも防げます。

書類の「入口」「出口」決める 整理は少しずつ、負担なく


 ――実際の机周りの書類整理や管理はどうしますか。
 オダギリ 作業しやすい仕組みや環境をつくることが大切です。ポイントは、机の上に書類の流れをつくり、何がどの段階でどこにあるのかをクリアにすること。
 具体的には、机上に 1、「入口」となる書類受け取り専用のトレーを置く(=未処理書類の保管先)。2、複数のボックスファイルか複数段のトレーを設置して、稼働中の書類を作業段階別に保管する。3、この他にトレーを1個設置して、保留にする書類専用の保管場所とする。4、処理が完了した書類は机上から撤去する(ここを「出口」と見なす)――。こうして入口と出口を決めて「書類の流れ」をつくると、何がどの段階でどこにあるのかが一目瞭然となり、自分の業務の状況が俯瞰(ふかん)できるのです。探しものに時間をとられるストレスからも解放され、仕事に集中できます。
 ――「7分割デスク整理法」も推奨していますね。
 オダギリ 机の左側、右側、上段引き出し、机の下というふうに机周りを7つに分割し、まず場所ごとに不要なものは捨て、次に空いたスペースを整頓、の順で2段階で整理整頓していきます。つまり、場所と段階の組み合わせですね。
 そうは言っても実際は、業務中に机の整理をするまとまった時間がなかなかとれませんし、周囲の目も気になるでしょう。いっぺんに整理しようとはせず、少しずつ、負担のない範囲で行ってください。隙間時間を利用して、できるときに順に片付けていけばOKです。整理整頓すること自体が目的とならないように、義務感やストレスを感じることなく、ちょっとした工夫や楽しみも見いだしてほしいです。

デスク上の流れ

講師: オダギリ展子(おだぎり・のぶこ)さん
事務効率化コンサルタント

 金沢市生まれ。特許事務や貿易事務に携わり、ミスを防ぐためのノウハウや事務効率化のテクニックを身につけた。近著に「事務ミスがない人の図解整理術〔書類・メモ・データ〕」(三笠書房)など。講演やセミナーも多数行っている。