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LECTURE199  2019 May

【第98回レギュラーセミナー】
「キャリアアップのためのビューティーアップデート~実用編~」

化粧崩れしない軽やかメイク オフィスでも映えて好印象


会場風景
 毎日のメイクに悩む働く女性は多い。今回の丸の内キャリア塾は「キャリアアップのためのビューティーアップデート」がテーマ。ヘア&メイクアップアーティストの長井かおりさんと美容エディターの安倍佐和子さんが、今季のトレンドを取り入れた、化粧崩れしにくい「好印象美人」になるメイクテクニックを、実演を交えて紹介した。


職場で求められる 上品さと清潔感


 安倍  働く女性にはどんなメイクが求められますか。
 長井 年齢や立場を問わず、上品で清潔感のあることだと考えています。好印象であることは仕事をしていく上で重要だからです。
 きょうはオフィスで映える、化粧崩れしにくいメイクをご紹介します。トレンドも取り入れ、春らしく軽やかなメイクです。
 安倍  早速教えてください。
 長井 UV(紫外線)カットのスキンケアで肌を整えた後、化粧下地から始めます。崩れないメイクには、なんといっても下地が大事。2種類を「適材適所」で使い分けます。
 最初は、毛穴を埋める下地です。スティック状の下地を小鼻の横やTゾーンに直接置き、指でクリクリと埋め込んでいきましょう。顔全体に使う必要はありません。
 安倍  塗ったところは肌がマットで滑らかになりました。
 長井 次の下地はピンクのコントロールカラー。頬の真ん中にチークのように乗せ、外側に向かって指でぼかします。くまのあるところやフェースラインまで伸ばしましょう。軽やかな明るい血色がキープされ、肌のくすみが出にくくなります。
 ピンクっぽい肌はこの春のトレンドです。幸せそうな印象を醸し出すので、上手に取り入れるとよいでしょう。
 安倍  なるほど。2種の下地の役割は大きいのですね。次はファンデーションです。

ひと手間を惜しまず 美肌ゾーンには重ね付け


  長井 きょうはリキッドファンデーションを使います。その後、おしろいでファンデーションを固めていく――。この2層式だと化粧が崩れにくいのです。
 安倍  リキッドは塗るのに時間がかかりそう……。
  長井 スポンジを使うと手早く仕上がるのでお薦めです。しかも、ムラなく、肌にきちんと密着します。  まず、顔の中央に丸くファンデーションを置き、スポンジでフワッと薄く伸ばしていきます。
 ここからがポイント。シミ・そばかすが多いところや目の下からこめかみまでの「美肌ゾーン」にファンデーションを重ね、軽くたたいて厚みを出すのです。これが美しさをワンランク上げる秘訣です。
 安倍  意外と簡単。きれいに手早くできますね。
  長井 そうですね。次はピンクのクリームチークです。ここで仕込んでおくとチークの色落ちが防げます。
 使うのは先ほど使ったスポンジ。ファンデーションが付いているところにクリームチークを重ねて付けることで、ピンクの色が程よく中和されます。
 安倍  置く位置は。
  長井 顔の正面にフワッと丸く、そして、色をしっかり付けるために軽くたたきます。
 安倍  上品で生き生きとした印象のピンク肌になりました。
  長井 ベースメイクの仕上げはパウダーです。粉を付け、よくもんだパフを少し折り曲げてTゾーンをしっかり押さえます。こうすると、化粧崩れしない、少しフォギー(フワッとした質感)で清潔感のある肌がつくれるのです。アイライナーやマスカラの色移りを防ぐには、下まぶたのきわに、アイシャドーの筆に付けた粉をきちんと塗ります。Tゾーン以外は、適量の粉を大きめのフェースブラシの中にきちんと入れ込んでからふんわりと付けましょう。付き過ぎを防ぎ、つやが保たれます。
 安倍  マットな部分とつやのある部分のメリハリが出ますね。毎朝のメイクでも簡単にできますか。   長井 はい。ほんのひと手間で仕上がりが驚くほどアップするのでお試しあれ。
 安倍  これはぜひやってみてください。ところで、汗ばむ夏に向けて、化粧崩れをさらにタフに防ぐにはどうしますか。   長井 パウダーでベースメイクを仕上げた後に、フィックスミストを使ってみてはいかがでしょう。メイクが水を吸って、肌に密着するのです。ただし、近くから直接吹きかけるとメイクが落ちてしまいます。ミストを天井に向かって噴射させ、落ちてくるミストを顔で受け止めることを1、2回繰り返してください(図)。
 安倍  効果だけでなく、楽しそうな方法ですね。
ミスト

日々の練習が上達の鍵 できることから挑戦


 長井 いよいよポイントメイク、目からいきます。大切なのは、ブラウンのアイシャドーで陰影をつくり、目元に立体感を出すことです。「彫り感」ですね。アイシャドーを手の甲に付け、色を調整してから指でまぶたに移していきます。目を開けたときに茶色がはっきり見えるところまで伸ばしましょう。
 この上にオレンジかピンクのアイシャドーを一度手の甲に付けてから、指で乗せていきます。これで、目力をキープしながら春らしい軽やかさが出せます。  次にビューラーでまつげをカールしてからアイライナー。ブラウンなどの少し明るめの色がお薦めです。軽やかな目元にしたいので、付けるのは目尻だけで十分。目は開けたまま、目尻に向けて一気に描かず、イチ、ニー、サンと少しずつ動かしながら線になればOKです。今回はマスカラもブラウン系でまとめました。  安倍  軽やか、かつ目力のある目元ができ上がりました。では、眉毛に進みましょう。
  長井 本来の眉を生かした太めの眉のトレンドが続いています。そこでまず、毛のないところを眉用リキッドで描き足し、その後のアイブローパウダーは眉の下の肌を染めていくイメージで、ブラウン系を大胆に使ってみてください。
 最後に、スクリューブラシで眉全体をとかし、極細芯のペンシルで眉尻を描いたら眉の仕上がりです。
 安倍  今っぽい、ナチュラルな眉です。最後はチークとリップですね。
  長井 チークは先ほどクリームチークを付けていますが、さらに持ちと発色をよくするために、パウダーチークを重ねてもよしです。色はニュアンスカラーが大人っぽくてすてきかな。ブラシに付けて、クリームチークの上に重ねてください。
 リップは、つやがあり、色もきちんと出るシアータイプを使います。色は大人っぽい落ち着いたピンク、伸びがよいのでじか塗りで大丈夫です。唇のふちを指先でならして、化粧崩れしない好印象メイクの完成です。
 安倍  「肌がきれいな人」という雰囲気のメイクですね。人とのコミュニケーションがうまくいく感じがします。
  長井 大事なことですね。メイクは毎日の練習でどんどん上達します。一度に完璧を目指すのではなく、できそうなところから取り入れていただき、職場でキラリと光る女性であり続けてほしいです。



長井 かおり(ながいかおり)さん
ヘア&メイクアップアーティスト
雑誌、広告、映像等幅広いジャンルで、モデルや女優のヘアメイクを手がける。わかりやすく、効果的なメソッドで女性ファッション雑誌、美容雑誌でのビューティー企画で人気を博し、著書のメイク本も累計20万部の大ヒットとなっている。

安倍佐和子(あべさわこ)さん
美容エディター/美容ジャーナリスト
あべ・さわこ 化粧品会社、出版社勤務を経て独立後、美容誌や女性誌、ウェブ、広告、講演などで幅広く活躍。著書に「人と比べない美人力の磨き方」(講談社)がある。