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LECTURE210 2021 September

丸の内キャリア塾とは、キャリアデザインを考える女性のための実践的学習講座です。毎回、キャリアやライフプランに必要な考え方と行動について多面的に特集しています。

【インタビュー】

「通ってよかった」が力に
英語を教え、自分も成長

軽い気持ちで参加した説明会から10年。「開講して正解でした」とECCジュニアのホームティーチャー(HT)として子どもたちに英語を教える小林玲子さんは話します。生徒や保護者からの「ECCに通ってよかった」という一言が力になり、教えることを通じ自分も成長するという小林さんに、HTの魅力や仕事に対する思いなどを聞きました。

小林先生

ECCジュニアホームティーチャー
小林 玲子(こばやし・れいこ)さん

南山短大卒、旅行会社勤務を経てボストンに留学。Wentworth Institute of Technology卒。約10年の子育ての後、2013年ECCジュニア二子町教室(千葉県船橋市)、15年三咲駅前教室(同)を開設、講師として活躍中

友人の開業に刺激を
軽い気持ちで説明会参加

 ――ECCジュニアのHTになったきっかけを教えてください。

  小林 約10年間、子育てが中心の生活をしていたのですが、40歳を目前にこのままでいいのかと、焦りを感じ始めました。その頃、久々に会った学生時代の友人が勉強を続けていた社会福祉のNPO法人を立ち上げたと聞き、着実に前に進む姿に刺激を受けたのです。働くことは雇われるだけではない、自営も選択肢の一つという意識が芽生えました。たまたま見たECCジュニアのテレビCMで、英語教室を運営する仕事があることを知り、軽い気持ちで説明会に参加しました。

 ――参加してみて説明会はいかがでしたか。

  小林 まず、教材が分かりやすくて面白そうと感じました。カラフルなイラスト、生徒が主役のレッスン形式、当時小学生だった自分の子どもたちも習わせたい……。自宅か近くに場所を借りての開講なので、子どもたちのそばにいられることも安心だと思いました。当時は東日本大震災の直後で、自宅から離れた場所で働いているお母さん方が子どもを迎えに行けなかったケースを報道で知り気にかかっていたからです。会場を出るときには「やってみよう」という気持ちになっていて、主人も「やりたいのならやってみれば」と言ってくれました。
 その後、すぐに物件を探し始めました。我が家はマンションで自宅開講が難しかったので。住まいから徒歩2分の2階建てアパートの一室に「入居者募集」の貼り紙があり、さっそく中を見せてもらうと、リフォームしたばかりで驚くほどきれいで家賃も安い。今でも不思議なのですが、先走り気味に「ここ借ります!」と口約束をしました。本当は地区担当の千葉センターのスタッフと相談しながら物件を見つけなければいけなかったのですが、後から同行してもらい「ここならいいでしょう」ということになりました。開講して順調に生徒数が増えた頃、ずっと目を付けていた店舗スペースが空いたので、移転しました。それが現在の二子町教室です。

充実した研修で運営学ぶ
テナント開講、家庭と両立

 ――急な展開だったのですね。開講までは研修など、どのように進むのでしょうか。

 小林 研修は、学年ごとのレッスンの進め方に関するカリキュラムが充実していて、宿題もあり、社会人として10年間のブランクがあった自分には結構大変でした。特に幼児・小学生のレッスンは、子どもと一緒に歌ったり踊ったりするレッスンもあるのです。家族がいないときを見計らって昼間こっそり練習していました(笑い)。英語を教えることについてだけでなく経営を学ぶ研修もあり、カリキュラムがしっかりしていたので、開講するときには不安はありませんでした。

――テナント教室を開くまでの準備は。 

  小林 アパートで開始したときは、何をどう準備してよいか分からず、毎日のようにホームセンターや家具店に足を運びましたが、これから始まることにワクワクしていました。テナントへ移転したときには、家賃は倍になったのですが、「自分の教室」を作ることがとても楽しかったです。

――生徒募集は大変ですか。

  小林 ゼロからのスタートでしたので、とにかく知ってもらうことが大切です。教室の建物の前にのぼりを立てたり、ECCジュニアの千葉センターに注文したチラシをポスティングしたりしました。あとは、子どもの友達繋がりのママ友ですね。宣伝するわけではないけれど、「今度、英語の先生やるんだよ」という話はしていました。以前米国に留学していたことを知っている皆さんが色々な方に伝えてくれたりして、その効果は大きかったです。

 ――生徒数は何人からスタートしましたか。

  小林 約20人でした。おかげさまでじわじわと増えていき、2つの教室を運営する開講9年目の現在は、約160人です。月曜から土曜日まで教室はあるのですが、通勤にさほど時間がかからないので、家庭との両立がしやすいのもHTの魅力だと思います。

授業は楽しく、大きな声で
実践重ねてオンライン授業

――授業で大切にしていることは何ですか。

  小林 子どもたちが「ここに来ると楽しい」と思う授業を提供することです。楽しければ続けられると考えています。教えていくうちに子ども一人ひとりの個性が見えてきます。それぞれが皆、頑張っている。まずは一人ひとりを褒めてあげたい。きつい調子で叱ることのないよう、褒めることを大切にしています。大抵の失敗は大目に見ています。例えば、宿題を全部やってこなくても「今度はちゃんとやってね」と指導はしますが怒りません。ただし英語のできる子が習って間もない子を悪く言ったりするのは絶対に許しません。
 世界にはたくさんの国や文化があり、日本もその中の一つであること、世界はつながっていることや他者を理解する心を養ってほしいです。そのためにも教材のテキストや地球儀、世界地図を使って、体験談などを話して聞かせています。
 また、自信をもたせることも心がけています。日本人の英語が通じない一番の理由は、声が小さいことだと実感しています。逆に言えば声が大きければとりあえず意思は伝わります。なので、はずかしがったり、ぼそぼそと小さい声で話す子には、意識して大きな声で発言させるように促します。どんな子でも慣れてくると、大きな声が出るようになってきます。

 ――コロナ禍で、授業にどんな影響がありましたか。

 小林 昨年4月後半から6月までの約2カ月は、ネット環境が整った家庭を対象にオンラインレッスンを実施しました。オンラインはやったことがありませんでしたが、 自分の家族や他の教室の先生方と何度も練習をし、「これならできそうだね」と思えるまで、実践を重ねました。現在は教室のコロナ対策をしっかり行ったうえで対面授業に戻しています。当然ですが対面の方が、子どもたちの実際の反応がよく分かるからです。皆、最近の出来事を話したり、聞いてほしくて通ってくるところもあるようです。

「開講してよかった」
経験生き、生徒の成長実感

  ――HTの仕事の魅力ややりがいを教えてください。

  小林 たくさんありすぎて、語り尽くせないほどです。なんといっても、一人ひとりの成長を長い期間、見られることでしょうか。私の教室の生徒たちの場合、入学するとほとんどが中3までずっと来てくれます。開講9年目になるので、9年間毎週会っている生徒がいる。英語力だけでなく、人間的な成長も見続けることができます。
 また、毎年新しい生徒が入ってくることも楽しみの一つです。新しい仲間が入ったことによって、クラスに化学反応のような変化が生じて、活発化することもあります。
 卒業した生徒や保護者に「ECCに通ってよかった」と言われると、その一言がとても力になり、「開講してよかった。これからもがんばろう」という気持ちになるのです。
 自分のライフスタイルに合わせたがんばりでその分の収入も得られます。うちの場合は2人の子どもの学資金を一つの目標にしてきましたが、大学卒業までの資金のめどがつきました(笑い)。

 ――HTになってこれまでの道のりはいかがでしたか。

   小林 正直、決して楽な道ではなかったと思います。人を育てるという面もある仕事なので、子どもとの関わりが大切で、すぐには決断できなかったり、落ち込んだりしたことも多々ありましたが、生徒たちの笑顔や保護者、担当スタッフとのコミュニケーションから有益な気づきを得、HTとして在りたい姿が開けてきました。教えることを通じて、自身も成長したと実感しています。

ECC

ECCジュニアのホームティーチャーとは

 ECCジュニアは40年以上の歴史を持つ全国展開の子ども英会話・学力養成教室です。その顔であるホームティーチャーは、自宅や貸会場・テナントで、地域の子どもたちに英語や国語、算数などを教え、教室を運営しています。基礎的な学力があれば、特別な資格は必要なく、しっかりした研修により、未経験でもスタートできます。働く曜日や時間、場所を選べるので、家庭との両立など自分らしい働き方も実現できます。シニア向けの教室(ECCシニア教室)も始まりました。
https://www.eccjr.com/

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