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 社会の最前線で働く企業人が全国の高校生に向け、働く楽しさや仕事への情熱をリアルに語るキャリア教育イベント「日経エデュケーションチャレンジ」。今年は装い新たに、第20回日経エデュケーションチャレンジSpecialとして、オンライン授業で開催した。高校生は約1カ月の視聴期間内に各企業によるオンライン授業をいくつでも視聴でき、受講終了後には修了証が授与される。
 
 今年の授業の統一テーマは「2020年を超えて進む高校生たちへ」。講師は受講生がオンライン授業でも楽しみながら学べるように創意工夫を凝らし、ビジネスの最前線で今起こっている出来事や豊富な経験から導き出したメソッド、成功と挫折の体験談などを伝えていた。いずれの授業も、高校生たちが自身と向き合い、やりたいことにチャレンジするきっかけになればとの思いにあふれていた。
 
 例年とは異なるオンラインでの開催であったが、働く大人たちのリアルな声が聞きたいという意欲ある高校生が数多く参加し、学びを深める貴重な時間を過ごした。従来は様々な理由から会場に足を運べなかった高校生も積極的に参加するなど、参加者の幅が広がったのもデジタルならではのメリットだろう。将来を見据えて新たな未来を創造していく高校生たち。夢の実現へ向けた彼らのチャレンジを、今後も応援したい。

開催報告

校長のメッセージ
校長 一條 和生
校長 一條 和生
(いちじょう かずお)
一橋ビジネススクール
国際企業戦略専攻
専攻長 教授
未来創造の主役は君たち。
夢と情熱胸に、挑戦を

 今年のエデュケーションチャレンジは、1カ月間のオンライン授業に進化した“スペシャル”な開催となった。社会の最前線で活躍する講師陣から、仲間と働く喜びや仕事への情熱を学び、未来の自分について考えてほしい。講義をきっかけに、自分で会社をつくりたいという気持ちになるのもいいだろう。ここは高校の教室とは異なる学びの場。すべては皆さんの夢から始まる。今日を「未来を創る日」と捉えてほしい。
 「コロナ禍後のニューノーマルを創造する主役は、デジタルネーティブである自分たち」と考えよう。皆さんには無限の可能性がある。現状に満足せず、自信を持って挑戦してほしい。未来予測が難しいことは、世界的なコロナ禍拡大が証明した。ビジョンを持ち、未来を創造することは人間の使命。創造性こそが、人間の人間たるゆえんだ。好きなこと、やりたいことを見つけるのも大事になる。たゆまず進む力になるからだ。挑戦には失敗がつきものだが、失敗を恐れてはいけない。また、世界には多くの仲間やライバルがいる。視野を広げ、世界を知ってほしい。生き方は一つではないし、生涯、学び続けることも大事だ。夢、希望、情熱を持ち、未来を創っていくことを期待している。

UACJ

授業タイトル:

アルミニウムでミライを創る

上田 薫 氏

上田 薫 氏

UACJ
R&Dセンター
研究企画部長

キーワードは素材・技術・人

アルミニウム製品を製造・販売しているUACJで研究開発に携わる上田さんは、未来を創造するキーワードとして「素材・技術・人」の3つを挙げた。アルミニウムは缶やアルミホイルなど身近な物からLNGタンカーまで様々な用途に使用される。ボーキサイトから造られ、比重は鉄の約3分の1。熱や電気をよく伝え、強い、加工しやすいなどの特長がある。なかでもアルミ缶のリサイクル率は95%以上で、再生時は97%もエネルギーを削減できるため「リサイクルの優等生」と呼ばれる。アルミ缶や自動車のボディーなどに使用するアルミ板材を作る圧延技術と、筒状のアルミをところてん状に押し出して自動車のバンパーなどを作る押出技術の動画を紹介した。また「研究開発では、お客様の要求に合う開発や未来のリサイクル技術の開発に取り組んでいる。求められる特性を持つ材質や製造方法を作り出すことが研究開発の仕事」と語った。自動車のボディーなどで使う材料の開発に携わった後、今は新技術の開発やイノベーション推進を行う上田さんは「イノベーションにはひらめきが必要。R&Dセンター内に、人と人が技術を見ながら自由な発想を共有できる『U-AI Lab.』(ユーアイラボ)を開設し、未来予想の共有、課題解決の検討の場としている」と新しい取り組みを紹介した。
 「技術者には、開発や研究で達成感を得たあとにも、特許の取得、論文発表、開発したものを世の中で見られるという喜びがある。私は仕事と子育ての両方を経験し、気分転換も上手になった。忙しい時期はあるが、過ぎれば楽しい思い出になる。何事にも思い切って、前向きに取り組んでほしい」と、子育てを経験した上田さんならではのメッセージを送った。

ニッタ

授業タイトル:

見つけた!
温度の変化で〇〇が変わる
不思議なテープの新展開!

丸谷 浩祐 氏

丸谷 浩祐 氏

ニッタ
デバイス機能材事業グループ
技術営業部
インテリマー技術営業課

積み重ねが成功もたらす

 ニッタで技術開発に取り組む丸谷さんは「積み重ねの先に成功あり」「コミュニケーションからモチベーションを生む」をテーマに講義を進めた。
 入社後5年間、温度で粘着性が変わる特殊な性能を持つインテリマーテープと呼ばれる粘着テープの開発に携わる。2018年に新製品開発プロジェクトに抜擢されると、傷みやすい桃を長持ちさせるためにニッタの技術を生かせないかと考えた。桃が傷むのは傷とエチレンガスが主な要因。特にエチレンガス対策には農家の人も頭を悩ませていた。おいしいままの状態で桃を食べてほしいという作り手の熱い思いに触れた丸谷さんは、仕事へのモチベーションが上がりさらなる意欲が湧いたという。しかし製品化には至らずミッションは失敗に終わってしまう。
 この経験は自身を大きく成長させた。現場の声を聞くことの大切さ、製品を形にする難しさも実感した。その後、ビニールハウス農家が毎年冬用から夏用のビニールに張り替える作業に苦労していると知った丸谷さんは、仲間とともにインテリマーの特性を生かして農家の負担を軽減しようと動き出す。温度を変えることで光の通り方を制御できるインテリマー。その粉末を樹脂に混ぜれば温度が低い時は透明に、高くなると白濁する機能を持つフィルムができる。それをビニールハウスに応用すれば、気温によって透明から白濁へ自動で変化し、張り替えの必要がなくなるというわけだ。現在は製品化に向けて開発を継続中だ。
 丸谷さんは高校生たちに、日ごろの積み重ねがあったからこそ成功へつながったのだと力説。コミュニケーションから仕事のモチベーションが生まれるとも語った。コロナ禍で人と会う機会は減っているが、人の経験や思いを直接聞くことを大切にしてほしいと締めくくった。

日産化学

授業タイトル:

安全性を正しく評価することで
ものを創る

古川 賢 氏

古川 賢 氏

日産化学
生物科学研究所
理事副所長
安全性研究部長

何が危険か考え社会を守る

 日産化学は創業時の化学肥料製造から業容を発展させ、現在は化学品、機能性材料、農業化学品、医薬品などを製造・販売している。同社生物科学研究所で様々な物質の安全性を研究する古川さんは、新型コロナウイルスの特効薬の開発が難しい理由について「新薬の開発には長い年月と膨大な資金が必要な上、臨床試験を開始しても成功率は約0.3%。開発の中断理由で最も多いのが安全性」と解説。また「安全性研究では危険の本質を見極め、毒性を正しく評価することが大事」と水、チョコレート、ニンジンなどの身近なものの毒性を紹介した。
 危険を意味するリスクとハザードについて「ハザードは危険の重篤度を、リスクは危険が起こる可能性を意味する。飛行機事故は自動車事故よりハザードは大きいが、発生率が低いため、ヒトの死亡リスクは自動車事故の方が高い。化学物質のリスクについても、毒性の強さだけで判断するのではなく、実際の摂取量を考慮した上で評価する必要がある。さらに、自動車は交通事故というリスクがあるが、それ以上に輸送というベネフィット(恩恵)があるため、車は使用されている。医薬品は副作用のリスクはあるが、それ以上に治療というベネフィットがあるため、使用されている」と語った。
 古川さんは「やりがいは、安全を正しく評価して、本当に危険なものは開発を中断し、会社と社会を守ることにある。私は大学で獣医病理学に夢中になったのを機に毒性研究者になった。皆さんには自分が本当に夢中になれることを突き詰めてプロフェッショナルを目指してほしい。新型コロナに対しては、何が本当に危険なのかを見極め、正しく怖がることで生活を充実させてほしい」と説いた。

ナブテスコ

授業タイトル:

未来を切り開く
アイデアを創造し、
それを守る知的財産を獲得しよう

友永 忠 氏

友永 忠 氏

ナブテスコ
技術本部
知的財産部
参事

「困り事」×「未来予想」が鍵

 友永さんはナブテスコで知的財産のプロフェッショナルとして働いている。同社は福祉機器や輸送機器など様々な分野の装置を製造しており、精密減速機は世界一、自動ドアは日本一のシェアがある。「日本には電気炊飯器など世界を変えた発明品がたくさんある。アイデアを創造することは未来を切り開くことにつながる。例えば掃除機は、ゴミ捨てが面倒、コードが邪魔といった不満に応えて自動ゴミ捨て機能やコードレスタイプが生まれた。さらに未来を考えると、環境にやさしくて癒される掃除機、例えば空気清浄機能付きなどのアイデアが浮かぶかもしれない」と身近な物を使って説明。アイデア創造では現在の困り事と未来予想を考え、そこから理想像をつくることが大事だと話した。
 「『究極のスマホ』を考えてみてほしい。例えば画面が割れる不満と人工知能の発達という未来予想を掛け合わせると『落としそうになったら警告するスマホ』などが考えられる。そこで必要な技術は、持つ力の測定機能かもしれない。さらに別の視点で、高齢化社会という未来予想を掛け合わせると、持つ力が衰えた高齢者のための『落としても割れないスマホ』が理想像になるかもしれない。複数の課題と未来予想を考えると多数のアイデアが次々と発想できる」とアイデア創造の極意を伝えた。さらにアイデアを製品化した後で他社にまねされないための対策として「特許を取得し権利を守る」「まねができない仕組み、まねされても勝てる仕組み作り」を紹介した。
 今の不満と未来予想を掛け合わせるアイデア創造の方法は、新製品の発見以外でも役に立つ。「アイデアの創造には知識や経験のほかに意欲も必要。アイデアを創造して自分の未来を切り開いてほしい」と締めくくった。

NOK

授業タイトル:

ピンチはチャンス!
コロナ禍で考える近未来への貢献

福間 博文 氏

福間 博文 氏

NOK
業務本部
主幹

全方位、全力で挑もう

 材料開発や人材育成などNOKの様々な部署で活躍し、海外での業務経験も豊富な福間さん。ユーモアあふれる講義で、コロナ禍の中でできることや夢を実現する秘訣を高校生たちに発信した。今までの常識が通用しない時代だからこそ、ポジティブに考え実行しても解決できないこともあると織り込むべきだという。ポジティブシンキングの本質は「逃げない」「諦めない」ことだ。
 人間関係の重要な摂理として「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる」と紹介。さらに「やるべきアイデアは自分の中にあり、ヒントは他人が持っている。自分の中の答えに気づくことが成すべきことを決める」と力説し、誰かの指示を待つのではなく自ら学び、考え、行動してほしいと語った。また、円滑なコミュニケーションには相手の話を聞こうとする姿勢、相手の尊敬できるところを見つける力、相手に自分のことを説明する準備が必要だと説く。苦手な人と距離を置く前にその人をよく観察してかなわないところを探し、自分との固有距離を見つけるのが重要なポイントとなる。高校生が直面する進路の問題については、今やりたいことが決まっていなくてもいいと言い切る。ただし選択肢を多く残すために「今は全方位に全力で取り組むことが将来必ず役に立つ」と背中を押した。
 また、福間さんが発見した「4の法則」も興味深い。顔と名前が一致するのは初対面から数えて4度目、もうダメだと思っても4度目のチャレンジでブレイクスルーすることが多いなど、4は人間の理解を助ける魔法の数字だという。
 「コロナ禍はそのうち収束する。今回の講義で学んだポイントを踏まえて、アフターコロナの時代に何ができるのかを、今真剣に考えてほしい」と高校生たちにメッセージを送った。

Live!ミートアップ

受講生の疑問・質問に企業の講師陣がオンラインで回答
「受講生×講師企業 Live!ミートアップ」が
11月7日(土)に開催されました

 「社会人になって直面した困難の乗り越え方」「大学の学部や就職先を選んだ理由」「どうすれば夢中になれるものを見つけられるのか」など、普段は聞けないリアルな質問が高校生たちから多数寄せられ、講師陣が一つ一つ丁寧に答えていった。オンラインでつながった画面には講師の言葉を真剣に聞く高校生たちの表情が映し出され、LIVE配信ながら一体感のあるイベントとなった。仕事以外の話題では「どんな高校時代だったか」との質問が全講師に届き、スポーツや趣味に没頭したエピソードや恋愛の経験談などが語られ、和やかな雰囲気に包まれた。

 授業で募集したアイデアへのレビューも開催。最前線で活躍する講師も驚くほどの斬新なアイデアから、今すぐ生活に役立てられそうな商品案まで様々なものが寄せられ、高校生の柔軟なアイデアに講師陣は舌を巻いていた。

交流会・修了式

交流会・修了式

過去の開催報告

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