特集/企画
LECTURE207 2020 September
丸の内キャリア塾とは、キャリアデザインを考える女性のための実践的学習講座です。毎回、キャリアやライフプランに必要な考え方と行動について多面的に特集しています。
「心掛けているのは、生徒が恥ずかしがらずに発言できる授業です」と、ECCジュニアのホームティーチャー(HT)として子どもたちに英語を教える井澤奈津紀さんは話します。現在、自宅とテナント教室の2カ所で教える井澤さんに、HTになったきっかけや仕事に対する思いなどを聞きました。
ECCジュニア・ホームティーチャー
井澤奈津紀さん(いざわ・なつき)さん
ノートルダム女子大学文学部英語英文学科卒、在学中にボストンに1年間留学。卒業後は医療事務などを経て、2016年にECCジュニア南高浜町教室(大阪)、20年天道町教室(同)を立ち上げ経営、講師として活躍中。
井澤 4年前、携帯メールにECCジュニアのHTに関するアンケートが届きました。軽い気持ちで答えると、ECCジュニア大阪センターから「説明会に来てみませんか」というお電話があったので、だったら行ってみようかなと自分から予約し、たしか1週間以内に出かけたと思います。そこからとんとん拍子に決まったという感じです。お恥ずかしい話ですが、当初は高い志を持ってスタートしたわけではないのです。長い間、病院で医療事務の仕事をしていたのですが長く勤めるうちに業務での精神的負担が大きくなり「しんどいな」と思っていました。そんなときに届いたアンケートに、救いの手を差し伸べてもらった感じです(笑)。
井澤 はい。担当スタッフの方がHTの教育や運営について丁寧に説明してくれました。その後、筆記と口頭テストを受け、こちらからの質問にも親切な回答があり、「ここならば大丈夫」という確信を持ちました。スタッフの頼れるお人柄も心強かったです。もともと英語が好き、人に自分の知っていることや雑学などを教えることが好きなので、自分にはHTが向いているかもと思い始めました。
井澤 自宅での開講を考えていたので「主人の了解を得るのに正式な返事を1日待ってください」とECCに申し入れました。正直なところ「やりたい」という思いしかなかったのですが……。幸い、主人も「空いている部屋があるし、自分の意志で決めたことを大切にすればいい」と応援してくれました。
それからは実際の準備に入ります。教室をスタートするまでにレッスンの流れや英語、運営についての研修がありました。特に、英語の研修は英語学習をしていた頃の感覚を取り戻すのに役立ち、ありがたかったです。それと並行して、机やいす、ホワイトボードなどを用意、教室の設営も行います。結構バタバタしていた記憶しかないのですが、担当スタッフがついてくれて、的確な助言があるのでその通り行いました。少し忙しい方が好きなので、準備も楽しかったです。
井澤 初めての経験だったので、試行錯誤を重ねました。我が家は路地奥の分かりにくいところにあるので、皆さんにまず知ってもらうことから始めなければなりません。家の前にECCジュニアののぼりを立て、支給された販促用タペストリーを3階からつるしました。
ご近所に挨拶回りも行います。商店街ではポスターを貼らせていただき、ポスティングや新聞の折り込みチラシも利用しました。許可を得て、下校時の小学校の門前で子どもたちにチラシを配ったり……。地道にいろいろやりました。
小学生の子どもがいる母親友達に「教室開くんです」と話して広めてもらった口コミが、確実に集客に結びつきました。
井澤 2歳児から大人まで約50人、小学生の割合が圧倒的に多いです。
井澤 小さな子どもが3人いたので、自宅開講であれば仕事と家庭の両立が可能だったからです。6、7畳の広さで開設できることも決め手になりました。
井澤 生徒一人ひとりが恥ずかしがらずに発言できる授業を心掛けています。英会話の教室なので、普通の塾とは違い皆の前で声を出さなければならない場面がたくさん出てきます。英会話は何度も声に出してこそ身につくものだからです。幼稚園や小学校低学年までは皆大きな声で元気がよいのですが、高学年になってくると恥ずかしさが出てきて消極的になったり、本来は上手な発音なのにわざと日本語っぽく言ってみたりする子も増えてきます。
井澤 まず、一人ひとりの性格や表情、学習理解度を確かめながら授業を進めていきます。開講当初は手探りでしたが、だんだん分かるようになってきました。「〇〇君、発言しにくそうだな」と思ったらグループワークにしたり、皆の前で発表するのが苦手な子には何人かで組んで発表してもらいます。
井澤 学びを通して、生徒たちの成長に立ち会えることに喜びを感じます。例えば、年1回、地元の公民館を借り、保護者の皆さんを招いて日ごろの成果の発表会を開催するのですが、最初は「嫌や」「やらへんわ」と言っていた男の子たちが、だんだんその気になって頑張るようになり、本番では立派にやってくれるのです。そういう過程を経験すると、「やってよかった」とウルッときたりします。
井澤 私の場合は、テナント教室が自宅から自転車で15分ほどと近く、通勤の負担がほとんどないこと、場所が変わると気持ちの切り替えができることです。また、自宅とは学区が違うので新たな集客が見込めることでしょうか。ECCジュニアの担当スタッフから「テナントもやってみませんか」と提案され、「じゃあ、やってみようかな」と。スタッフが場所探しをサポートしてくれて、頼りになりました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月開講と同時に休講せざるを得なくなりました。結局5月にオンラインの授業でスタート、コロナ対策を万全にしたうえで6月に対面に戻したときのうれしさは言葉にできないくらい。子どもたちと一緒にワイワイ楽しく授業を行えることはとても幸せなのだと再確認しました。コロナは憎いけれど、そういう気づきを与えてもくれたと思います。このような想定外のスタートでしたので、テナント教室の実際はこれからだと考えています。
井澤 とても楽しく充実しています。英語が好き、子どもが好き、教えるのが好きな私の天職ではないかとさえ思っています。もっと早くにアンケートメールが届いていれば(笑)。
HTを続けることは、両親や兄への恩返しでもあるのです。実は私も小学1年生から大学卒業までECCジュニアの生徒でした。「英語を習いたい」と言ったら母が色々調べて探してくれたのです。そんなに裕福な家庭ではありませんでしたが、私のやりたいことを続けさせてくれ、おかげで英語が好きになりました。当時の先生が優しくて、内気だった私が臆することなく話せる雰囲気をつくってくれたからです。今HTとして心掛けていることは、その先生がお手本です。また、大学時代1年間ボストンに留学したのですが、その費用は兄が捻出してくれました。
それなのに、卒業後は英語を生かした職業を選ばず、ずっと申し訳ない気持ちを抱えていました。「ECCジュニアの先生になる」と両親に報告するととても喜んでくれました。今も応援してくれていますし、応援に応えたい、恩返しをしたいのです。遠回りしたけれど、大好きな英語の世界に戻ることができた、アンケートメールが縁をつないでくれたと思っています。
井澤 協力的ですし、多分喜んでいます。年長の三男は「英語の先生やねんで」と周りに自慢しているみたいで……。私がテナント教室で教えている間は、小学5年生の長男、3年生の次男の男3人、あまりけんかもせずにいるようです。3人とも自宅教室の生徒でもあるので、母親が働く姿を間近に見せられることもHTの魅力ですね。
ECCジュニアのホームティーチャーとは
ECCジュニアは40年以上の歴史を持つ全国展開の子ども英会話・学力養成教室(2021年4月からECCシニア教室も開始予定)。その顔であるホームティーチャーは、自宅や貸会場・テナントで、地域の子どもたちに英語や国語、算数などを教え、教室を運営しています。基礎的な学力があれば、特別な資格は必要なく、指導・研修により、未経験でもスタートできます。働く曜日や時間、場所を選べるので、家庭との両立など自分らしい働き方も実現できます。
https://www.eccjr.com/